[アップデート] AWSクレジットの共有設定が組織内のメンバーアカウント単位で有効化/無効化が管理出来るようになりました
いわさです。
AWS では AWS クレジットというプロモーションクレジットを適用する仕組みがあります。
クレジット自体の詳細は公式ドキュメントに記載されていますが、AWS アカウントにクーポンコードを適用することで、一定の金額が請求額から削減されるようなイメージです。
クレジットの入手方法については本記事の趣旨から外れるため控えますが、アカウントに適用されたクレジットが対象としているサービスが使われると請求額から次のように削減されます。
次の例では OpenSearch Service を 31.68 USD 使用していますが、クレジットが適用されて相殺されていることが確認出来ます。
このクレジットですが、AWS Organizations の同一組織内のアカウントに共有することが出来ます。
Organizations の支払者アカウントはクレジットの共有設定を有効化することで、組織内のアカウントに適用されている各クレジットを組織の請求書に対して適用することが出来ます。
これまではこの共有の有効化設定は、有効化することで組織内のすべてのアカウントに適用される形でしたが、本日次のアップデートアナウンスでメンバーアカウントごとに共有の ON/OFF を設定出来るようになりました。
設定方法
この機能は支払者アカウントの Billing サービスの請求設定機能から設定することが出来ます。
従来はこちらからクレジット共有設定の有効化・無効化が可能だったのですが、新たにアカウントごとに共有設定を管理出来るようになっています。
RI/SP の割引共有設定画面と同一の作りになっています。
なお適用されたクレジットの管理画面からは本機能に関わるアップデートを確認することが出来なかったので、「このアカウントにはこのクレジットは除外したい」など、クレジットコード単位での管理は出来ないようです。
新しく作成したメンバーアカウントとのデフォルト共有と一括操作
アカウントごとに共有設定の管理が出来るようになったことで、従来の全アカウントを対象として共有の ON/OFF の替わりの機能が追加されています。
クレジット共有設定の編集画面から、新しく作成されたメンバーアカウントに対してデフォルトで共有設定を有効化するかどうかを設定することが出来ます。
また、アカウントごとに個別に有効化・無効化を切り替えるのではなくアクションメニューから次のようにすべてのアカウントを対象に有効化・無効化の操作を行うことも出来ます。
アカウントを指定して無効化する
試しにアカウントを無効化してみました。
無効化したいアカウントを選択して、無効化ボタンを押すだけです。
クレジット適用の対象外とすることで毎月の請求額が増加する可能性があると警告されます。
ただし、公式ドキュメントによるとクレジット適用にはサイクルがあり次のように記載されています。
このことからこの時点で適用状態の有効化・無効化操作をしても即時影響が出るわけではなく、請求サイクルが変わった時点での有効化状況に従って料金が計算されているようです。
請求書は、月の最終日にアクティブになっているクレジット共有設定を使用して計算されます。
また、設定履歴を CSV 形式でダウンロードすることが出来るのですが、フォーマットは次のように月次での設定となっていました。こちらは無効化直後の CSV ファイルです。
このことから、月末時点でのクレジット除外アカウントは履歴として記録され続けるようです。
アカウントを指定して有効化する
アカウントごとに月に一度しか有効化・無効化の切り替えを出来ないなどの制限があると怖いので、念のため有効化も出来るか確認してみましょう。
先程と同じようにアカウントを選択して、有効化ボタンを押します。
有効化後に設定履歴 CSV をダウンロードすると次のように無効化されているアカウントが無い状態に戻りました。
月末までの間に何度でも ON/OFF は出来そうですね。
さいごに
本日は AWSクレジットの共有設定がメンバーアカウント単位で有効化出来るようになったので使ってみました。
実際に請求がどのようにされるのかまで観察したいところですが、ユースケースとしてはおそらく対象のメンバーアカウントごとに個別にクレジットを適用して運用したいケースでしょうか。
無効化ステータスの場合のコンソールの説明欄には次のように記載されています。
無効化済み - このステータスのメンバーアカウントは、お互いにクレジットを共有しません。
メンバーアカウントに個別に適用されたクレジットは組織に加わると翌月から組織のクレジットとして使われる形になるのが共有時の動作です。(参考:AWS credits - AWS Billing)
そのためその挙動を抑制して、組織に参加しても個別のメンバーアカウントのクレジットはそのアカウントのみで管理して使いたいようなケースで使うのかなと予想しています。